霊務・ザ・ファイナル(霊務4)
彼女が出て来たのは3時間後。
意外と無駄に長い180分映画だ。
しかも、殆ど人間の客が出て来ない。
……マイナーなのか?
それでも礼子自身はお気に入りのようで、ご満悦な顔と思い出し笑いを繰り返して幸せそうに歩いている。
「プクククク!! あの第2婦人の奥さんも実はチンピラだったなんて。ブタ夫も焦るわね~。やっぱ服従したようにラーメンを顔から突っ込んで食うシーンは名場面ね!」
ワケの分からない独り言を呟き、何度も何度も笑っている。
お腹を抑えて外の階段を下りると、どこからか妙な笑い声が聞こえてきた。
「ゲッゲッゲッゲ……」
どこから聞こえるのか?
「ほえ……?」
辺りを見回すと、ボロくさいフードを被った男が映画館の柱の影に立っていた。
その柱から覗くように体半分出している男は、こちらを見ているようにも見える。
(……?)
最初は映画を見た客が、1人で笑ってるように見えたが、その独特な雰囲気から違うことが分かった。
(この人……霊だ)
礼子がそう思うと同時くらいに、フラリとこちらに近付いてきた