霊務・ザ・ファイナル(霊務4)
今日もいつものように依頼がないかと過ごしていると、案外早くに事は起こった。
向こうから息を切らして、年配の霊が走ってくるではないか。
礼子とオッサンの前で立ち止まり、疲れながらも話しかけてきた。
「ハアハア。き……君が噂の何でも屋かい? おお、本当だ階級10じゃないか。こんなお偉いさんが霊助けをしてるなんて凄いなぁ」
礼子の階級が見えている……と言うことはオッサンと同じ『担当者』だ。
両方年配だから、相手の霊はオジサン、ウチの黄ばんだ相方はオッサンと使い分けよう。
「また良からぬ事考えてるでしょ礼子君。して、我々に何の用かね?」
オッサンはオジサンに聞いてみた。
さっきの使い分けをしなければ、オッサンはオッサンに聞いたとなる。
とても分かりにくいでしょ?
「おお、そうそう。実は助けていただきたいのですよ。前に私が担当していた霊なんですが、ある遠い地に派遣させたまま連絡が全くないのです。警備業の仕事ですので、何かあったんじゃないかと心配で……」
成る程、今度は様子見の仕事と。
潜伏したりスパイごとじゃない依頼に、また礼子は飽き飽きとした。
「そんな見に行くくらいなら、自分で行けばいいじゃ~ん。ここに頼んでも無駄に高いよ? 依頼料は10万霊円するんだから」
そんな単位は存在しない。
勝手に作るな。
そうツッコみたいが、正直オッサンも追い払いたかった。
霊の警備業とは、重大な仕事と言うか任務。
例で上げると、昔07などの凶悪組織に対して警備したり、今では女王と祭り上げられている里子の側で警備したりと、その重要さは深い。
出来れば関わりたくないものだ