霊務・ザ・ファイナル(霊務4)
「さて……眠り猫さん。アナタは何者ですか? 階級や能力も分からなければ、人間なのかどうか聞きたいのですが」
すると、眠り猫はあくびをしながら答えた。
「ニャんだ。そんなつまらない質問か。我が輩は人間か猫なのかは自分でも知らん。気が付いたら霊で、家康様に仕えるよう言われただけだ。階級? 能力? 何だそれは? 食い物か?」
おや……
どうやら、自分自身でさえ分かっていないようだ。
人間なら、自我を崩壊した自縛霊以外、記憶が残るのだが、こんなケースは初めて。
本人に聞いても分からなければ、謎は誰にも解けない。
「人の言葉は分かるんですね」
「ウム。身に付いていた。あと分かる事は、我が輩は『強い』と言われていた。だからこの門の警備を任され、家康様を御守りしてるのニャ」
確かに、あの人をも越えたスピード。
素早さだけで言ったら、礼子を上回っていただろう。
この強さなら、単体で護れるわけだ