霊務・ザ・ファイナル(霊務4)
「アタシも襲われた時、キャットしちゃったよ!」
「そうニャロ、そうニャロ!」
「そこ2人。猫語で意気投合しなくていいから」
いつもよりハイテンションの礼子。
猫好きの性格が、眠り猫を気に入ったのだ。
「それで……本題に戻りますが、徳川400年祭が近付いており普段はこの日光東照宮の周りに警備霊を配置しています。しかし、今回どういうワケか霊が消えてしまったのですが、理由を知ってますか?」
眠り猫は、体をペロペロと舐め始めた。
「ん~~~知らん。そんな話も初耳だし、我が輩はただここを護るだけ。家康様のとこに行くにはここしか道はない。裏からは侵入できんよ」
日光東照宮は、そう言う作りをしている。
続く墓への階段が奥に見えるが、その周りは自然に出来た狭間の壁・結界が張り巡らして霊の侵入を拒む。
入り口はここしかないなら、下手に動かずここに居れば十分である。
眠り猫は周りを見渡す。
「しかし、妙だニャ」
「何がですか?」
「普段……確かこの日光東照宮全体の周りにも、薄い結界が張ってあったんニャが……それが解けてるし警備兵もいないなら、九分九厘敵の仕業で間違いないな」
それを聞き、ドキリとするオッサン。
やはり今回も、戦いに巻き込まれるようだ