霊務・ザ・ファイナル(霊務4)
カサカサカサカサ。
ゴキブリって知ってる?
その辺動き回る害虫。
ほら、あそこにも……
「ほら、また動いた」
オッサンの動きを、ゴキブリに見立てて遊んでいる礼子。
何て暇なお遊びだ。
「もういよいよ明日が400年のお祭りか~★綿飴でるかな?あと金魚すくいも」
「うんうん。たこ焼きあるかニャ~~まあ我が輩は、その上に乗る鰹節だけで十分だが」
眠り猫は、礼子の膝の上で眠りこけている。
もういいよお前ら、どっか行って遊んで来いよ。
しばらくすると、オッサンは戻ってきた。
「だいたいの地形は把握した。
やはり敵が責めるとしたら、正門からだろう。どの数で来るか……」
大人数の襲撃か?
それとも、精鋭だけを集めた少人数の襲撃か?
それに備えなければならない。
それにしても、だいぶ人が多い。
式典準備の最高潮だ。
「おっとスマン」
人間がオッサンの近くで、ペタペタ紙を貼る。
「キャハハ! オッサンそれただの人間だよ! うちら透けてるから動かなくてもいいのに、全く人間まで気を使うなんて、うだつが上がらないわねえ」
「うるさいなぁ! 人としての、いや霊としての礼儀だよ」
和んで話すのも今日が最後、明日はいよいよ始まる