霊務・ザ・ファイナル(霊務4)

そのまま大きく息を吸い込み、何かを思いきり吐き出した。











「虎(コ)っ!!!!!」












ブワっと大気が揺らいだかと思うと、その口から虎のようなシャドウの気当たりがオッサン達を襲う。








……!!

ドウン!!!









それに触れた瞬間。

獲物が虎に睨まれたかのように、動けない感覚に包まれた。











先程の家康復活の気配を感じた時の、何十倍の悪寒だ。










「これは石化系の特殊能力!?」









動けなくなった2人に、更なる力が押し寄せた。










バァン!!!!!!










家康公の霊力の威圧だ。









吹き飛ばされたオッサン達は、空中で踏みとどまった。










何という力……!






家康は!?










……追っては来ない。


と言うか、もうコチラさえも向いていない。










「……! 吹き飛ばすだけで、トドメを刺さないのか?」










「そうニャ。家康様は自我がない為、近付く者全てに自動防御が働く。今の技は『虎砲(こほう)』……相手をその技で萎縮させ、無抵抗のとこに霊力で吹き飛ばすんニャよ」










家康公は寅年。



その特殊能力は虎にちなんだもので、咆哮した声に触れると石化したかのように一時的に動きを止められると言う力だ。











「成る程……だから近付くな…か」











止めた理由が理解できた

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