霊務・ザ・ファイナル(霊務4)
よく見るとただ黒塗りしてある訳ではなく、何かの文字が細かくびっしり体中を埋め尽くしている。
いわゆる、黒魔術に特化した肉体である。
その霊は見上げると、オッサン達に声を掛けてきた。
「お前ら……礼を言うぞ。おとりになって徳川の注意を反らしてくれた事を」
その声からして、だいたいの歳は想定出来る。
決して若くはない。
オッサンと同じくらいだろうか?
見た目が分からない以上、そう判断するしかない。
「おとり? 何の事だね!」
「まだ分からんのか? 煙幕で騒ぎを立て、徳川を案じたお前達は駆けつける。そこで徳川がお前達に気を逸らしている隙に、力を奪ったワケだ」
つまりは……
いっぱい喰わされた!?
何たる失態。
焦り過ぎた結果、かえって敵を助長させてしまった