霊務・ザ・ファイナル(霊務4)
大男は2人の会話を聞き、死者リストをめくっていた。
「あった……両親は先程来たが、生き返りの選択してるぞ。
きっと、さっきの二人組がそうだったんだろう」
どうやら、選択させたのは大男だが、別の担当者が道案内をして人間界へと送って行ったらしい。
それを聞いた礼子は、右のドアに行こうとした。
「ふ~~ん、じゃアタシは霊務しよっ。さあ、頑張るわよ~」
「手慣れてる!! しかも『霊務』の事もまだ説明もしてないのに、何で知ってるの!? お前やっぱ記憶あんだろ!」
オッサンがそう言うのも無理はない。
実際霊務の世界に通じる右側のドアに、礼子は手をかけているんだもの。
左側のドアが、生き返る為の人間界への道。
霊になってもいつでも行けて、通る者は記憶と能力を消されて生まれ変わる。
そんな事を知らないハズの礼子は、本当に記憶がないのに、さも当たり前のような行動を見せる。
「いいから行くよオッサン。ほら早く」
「だから私の名は田中だ! 田中さんと呼べ! 今からでも間に合う!」
ギャーギャーと2人は騒がしくいがみ合いながら、選択の間を後にした