彼は幕末戦士
幕末におこった、新政府軍と旧幕府軍の戦いだ。しかし、そんな時代、とっくに過ぎているはず。
目の前の男――――河上千尋は何を言っているんだろう。
「私は、西藤小春(さいとうこはる)。……東京都民よ」
「東京?聞いたことないな……異国の人かい?」
彼は、本気で言っているみたい。
「日本だけど……」
「え、日本!?僕もだけど、そんな藩は聞いたことないな」
もしかしたら、本当に河上は幕末の人なのかもしれない。
たしかに、髪型や服装、そして刀をみれば納得できるかもしれない。
だけど、もしそうなら、河上はどうやってここに来たのだろうか。
「あの、河上さん?どうやってここに来たんですか」
クローゼットから出てきたのだ。方法が気になって仕方がない。
「それがさ……」
そう言って河上は話し出した。
河上によると、こうらしい。
時は明治元年。
新政府軍に追いつめられた旧幕府は蝦夷へと向かっていた。彼も蝦夷へ向かう船に乗っていたらしい。
無事、蝦夷地に着き、隊士と共に部屋に向かっていたことろ、カタカタと不思議な音が聞こえてきたようだ。
音はどうやら戸棚からしていて、気になった河上が戸棚を開けた瞬間――――――――――――
「ここに居たというわけだ」
「…………………………えッ!?」
今の話が本当ならば、河上はタイムスリップしたのではないか。
未来からならぬ、過去からのタイムスリップ……。ドラ○もんも驚くだろう。
「ねぇ、僕はどんな状況なんだい?」
真剣に河上は聞いてきた。
そうか、河上はタイムスリップという言葉を知らないんだ。
私は、河上に状況を説明してあげた。