傾く天秤

第一声


「なぁなぁ、今日の委員会一緒に行こう。」

休み時間に、君が急に話しかけてきた。

「何で?」

異性を信じれなくなってから、つい私はこんな反応をしてしまう。

「…行こう。」

君は俯いて、それだけ言って自分の席に戻って行った。

今思えば、あの時君は少し照れていたんだと思う。


チャイムの音、と同時に君が走ってきた。

「さぁさぁ、行きましょう!」

「何そのテンション、気持ち悪い。」

その頃周りでは、君が私の事を好きだという噂が流れていた。

私は噂とか、そういう確信がないものは信じれなかったから、聞き流していた。
だから、アレはノリで聞いてみただけだったんだ。

「ねー、今噂で流れたるんだけど、私の事好きな人がいるみたいー。」
さぁ、どういう反応をするのかな。

すると君は、
慌ててこっちを向いて、もの凄い大きな声で言った。

「お、俺じゃないし!!」

…は?言ってないし。

一瞬、その場の空気が凍り付いた。
1時間以上、時間が止まった気分だった。

「あー…そう、知ってるけど。」

まぁ噂は噂だし、どうでもよかった。

「え…。」

君はあれから少しの間、私との距離を置いた。




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