今、この場所で。
……って、なんで今日に限ってアキに会えないんだよ。


大きなため息が自然とこぼれた。
朝のバス停はいつも俺を凹ませる。


暑くて汗が止まらない。少しだけ吹く風がとても気持ちいい。

俺は目を閉じた。


いつもこんな時は急に甘い匂いがして俺の背中をトントンって叩くんだ。


振り向くとアキがいて……。
優しく微笑んでくれる。


そしたら、俺はこのバス停までの坂道や暑くて嫌いな夏も少しだけ好きだと思える。
そんな気がするんだ。


俺は閉じていた瞼を開けゆっくりと振り向いた。
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