今、この場所で。
あぁ、恭平。今ならあの時の質問に答えられる。
頭の中で恭平の声に答えた。

『誰と座る?』

アキだ……俺はその椅子にアキと座るよ。


ピアノを奏でるアキの指が止まった。


静まった音楽室は俺には苦しかった。

アキがこんなにも近くにいる。
俺の腕とアキの腕が触れるか触れないかの距離が俺には耐えれなかった。


頭がどうにかなりそうだ。

どうしたらいいのか分からない俺にアキは「帰ろっか。」と一言だけ言った。


アキは悲しそうな顔をして外を見た。

その視線に俺は目を向けてアキと同じ景色を見た。


音楽室の窓から見える夕焼けの空はとても綺麗だった。
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