今、この場所で。
「ヒロ!!」



「何?」



こいつも相変わらずだ。
なぁ恭平、俺は結局アキに何も出来なかったよ。
お前にあの奇跡を言ったら絶対に笑うだろうな。



「さみー。お前さ、毎日屋上に来て何してんの?」



アキが死んでから寒い冬が訪れた。
こんな日のアキはきっと鼻を真っ赤にして「もうすぐ春だね。」とか言うんだろうな。



「ここの場所が一番近いから……。」



なぁ、アキ見てる?
そっちは寒くないか?
なぁ、アキ?



俺は屋上に来ては何度もアキに問い掛けた。
“なぁ、アキ?”
がいつの間にか俺の口癖だ。
返事のない事に俺の涙腺は限界だ。
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