イジワルセンセイとハチミツな恋~どきどき・胸キュンホームルーム~
まり子がピンボケな声を出し、遠慮がちに手を上げながらそう言った。


「なんだ、まり子?」


「はい、テストの範囲って、何処から何処までですか?」


その質問を聞いて直樹先生が意味ありげな表情を作ると、まり子に視線を合わせて、一言だけこう言った。


「全てだ……」


それを聞いたまり子と乃理道が顔を合わせて、暫く見詰め合った。


「あのう……全てって…」


まり子の申し訳なさそうに直樹先生に聞き返したが、彼は教壇の上から躊躇う事無く、きっぱりとこう言った。


「全てと言う言葉は、それ以上でも以下でも無い意味など存在ましない。分るか?」
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