あきれるくらい側にいて
3本のロウソクに火が点る。
ハルが、またポケットをゴソゴソさせて携帯を取り出し
「よかった、間に合ったーっ。いきますよ、サクラさん?」
と隣のあたしを見た。
「え?」
そして彼は、戸惑うあたしにニッコリとしてカウントを始めたんだ。
「10、9…」
小さな明かりに照らされたハルの横顔。
酔ってるせいもあるのかな?
その時のあたしは、幻想的な世界にいるような気分になっていて。
「7、6…」
それから、さっき観た映画のシーンも蘇ってきて。
「4、3…」
まるで自分が、あのヒロインになったような……。