あきれるくらい側にいて

握りしめたままの手の内のビールが、温さを増していく。

軽い気持ちで姉弟(きょうだい)の話をしてしまったことを、ちょっと後悔していた。

そんな気持ちが顔に出てしまったのかな?

急に明るい声を上げたハル。


「あっ サクラさん、大事なことを忘れてました!」

「なによ、急に?」


すると彼は、あたしの前に右手をハイッと差し出して

「さっきの美容液、貸してください」

とニッコリ笑顔で言った。


「…美容液?」


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