あきれるくらい側にいて
 
観念したあたしは洗顔を済ませ、ハルの前にペタリと座った。

さっきまでの物悲しい雰囲気を払拭できたのはいいけど、この展開には、さすがに戸惑いを隠せない。

習いたての美容術をハルはレクチャしたいらしいけど、触られるなんて、やっぱ緊張しちゃうし。

それに、さっきの『キレイだなって思ってました』って発言にも、ちょっと動揺しちゃったり……まっ 社交辞令だろうけど。


「で、あたしはどうすればいいの?」

「まずは、そこに横になってください」

ハルがソファを指で差す。

「えぇ!?」

「いいから早くしてください。せっかく用意した蒸しタオルが冷めちゃうじゃないですか」


なんでハルに怒られなきゃいけないのよっ。

ジロっと睨まれて、仕方なくソファの上に寝そべった。

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