あきれるくらい側にいて
 
 
「「おかえりー」」


玄関のドアを開けるとすぐに目についたのは、見慣れない靴。

絶対モモちゃんなら選ばないって感じのデザインのペッタンコ靴が、モモちゃんのピンヒールと並んでいた。

そして一卵性双生児の二人が、ほぼ同じ声で綺麗にハモって出迎えてくれた。


「ウメちゃん、来てたんだ?」


声をかけながら椅子に重たいバッグをドサっと置く。

テーブルに目を向けると、モモちゃんの前には缶ビール、ウメちゃんの前にはピーチ味の缶チューハイが置かれ。

それから我が家ではあまり並ばない、蓮の金平や筍の煮物といった家庭料理が並んでいた。


「サクラちゃん、いつもこんなに帰りが遅いの?」


チューハイの缶に描かれた桃より濃く頬を染めたウメちゃんが、心配顔で訊ねてきた。


「こんなにって、まだ10時じゃないの」


あたしより先に答えたのはモモちゃん。

 
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