あきれるくらい側にいて
 
久しぶりに顔を合わせたあたし達姉妹は、それから2時間くらい飲みながら雑談をして。

日付が変わる前にウメちゃんは、ソファで眠ってしまったけど。

今回の突然の訪問は、あたしの結納が突然延期になってしまったことを心配して、ということだったらしい。

仕事の都合でタダシの帰国が遅れてるせいだって説明したら、安心したみたいだけど。

しきりにウメちゃんは言っていた。


『いい奥さんになるのよ』って。それから

『好きな人と家庭を持てるなんて素敵だわ』と。


「“好きな人”かぁ……」

残りのビールを飲み干して、小さく息を吐いた。


「なによサクラ、そのフレーズに疑問を抱いてるわけ?」

お皿や箸を片付けていたモモちゃんがあたしの顔を覗きこむ。


「え?」

「今週はずっとアンタ、浮かない顔をしてたから。マリッジブルーか、はたまた結婚そのものに迷ってるのかしらってね」

「迷うだなんて、そんな……」

 
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