あきれるくらい側にいて
「ねぇ、モモちゃん」
「なによ?」
「好きな人って言葉に、あたしが疑問を抱いてるって言ったら。この結婚に迷ってるかもしれないって……」
言いかけて、そこで止めた。
だめ。
これ以上、言葉にしてはいけないように思えた。
秘めていた小さな感情が現実の中で動きだしてしまったら……やっぱりそれはいけない。
疲れてるせいだ。
そしてなにより……ハルのせいなんだ。
7コも年下で甘い顔立ちをしていて、小学生みたいに純粋で無邪気で。
ちょっと草食系に見えるくせに。仕事に対する姿勢は真面目で、もっと言えば情熱的な。
優しくてよく気が利いて。
なのに。
……いけない。
こんな一時の感情に振り回されて、理想的な結婚に迷うなんて。そんなことがあっては駄目なんだ。