あきれるくらい側にいて
君がいないと
7月に入った。
日に日に増してゆく暑さ、夏特有のワクワク感もあちこちに漂う季節。
だけどハルの態度は相変わらずで、あたしの胸の中に溜まったモヤモヤ感はピークに達しそうだった。
もうモヤモヤなんて生易しいもんじゃない。これは完全に“イライラ”だ。
はっきりさせたかった。ハルがそんな態度をとる理由を。
そして、あたし自身が、こんなに揺れている理由(ワケ)を……。
だから、白黒つけることに決めたの。
午後5時40分。
定時が過ぎるのを待ち、意を決し斜め向かいの席まで歩く。
そして、パソコンに向かっているハルの隣に立った。
「阿久津君、ちょっといい?」
まだ少年のようにも見える横顔が、ゆっくりと擡げ、そして丸い瞳があたしを見据えた。