あきれるくらい側にいて
 
*.....*.....*.....*


 
「ハァ~ッ」


また一つ、深い溜め息がこぼれ落ちた。


「幸せ、逃げますよっ?」

「…んー?」

「シ・ア・ワ・セ! 逃げちゃいますよぉ?」


マウスに手を置いたまま目の前のモニタから視線を上げると、小首を傾げたリンちゃんと目が合った。


「今朝からサクラさん、溜め息ばっかりで。最近は笑顔も見られないし」

「そお?」

「はい。それに表情筋を使わないでいたら、たるみや皺の原因になります! サクラさんアラサーなんですから、もっと気をつけなきゃー」


アラサーかぁ……。

こんなリンちゃんのイヤミも、今はそれ程気に障らない。

って、あたし結構参ってるってことなのかな。

 
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