あきれるくらい側にいて
肩を大きく揺らして、しゃっくりをするリンちゃんの隣であたしは、出かかった溜め息をそっと飲み込んだ。
お酒を飲むのは楽しいけど、時々面倒なこともある。
思い起こせばハルとあたしだって、始まりはお酒が絡んでた。
あたしが酔って無理にハルを家に泊めたせいで、『後悔してる』なんて言われちゃったし……。
そっと飲み込みきれなかった溜め息を吐き出すと、騒がしい会話が耳に飛び込んできた。
「ほらお前ら、肉ばっか食ってねーで、どんどん飲むんだ!」
あのダミ声は鈴木さんだ。
酔うといつもこうなる。そこへ他の男性社員の声も混ざってきた。
「でも先輩、こんなに飲んでていいんですか? 阿久津だけ先に行かせて」
「いいの、いいの! 大体アイツは真面目過ぎるんだよ。そんなに急がなくってもいいのによー」
「ですよね~? あんなに常に熱く走られちゃ、周りがサボってるみたいに見られますしね」
「そうそう。そんなに頑張ったって出世は望めないだろうしなー」
「それって、やっぱり高卒だからですか?」
「そりゃ、そうだろー。どんなに努力したって学歴はどうしようもないからな」