あきれるくらい側にいて
そんなに悪気はないのだと思う。
酔ってるせいだとも思う。
だけど……。
ギュッとこぶしを握りしめると、ずっと黙っていたリンちゃんが静かに訊いてきた。
「サクラさんも、あんなふうに思います?」
「…え?」
「ハル君は高卒だから、所詮出世はできない。だから自分の気持ちにも歯止めをかけたんじゃないですか?」
思ったことがないと言えば嘘になる。高卒だとか年下だとか、時々そんなことを頭に巡らしていた。
「リン、ハル君のことスキです。
あっ 勘違いしないでください! サクラさんがハル君を想う気持ちとは違いますから。
サクラさんのことも大好きですよ。悔しいけど結構憧れてます。アラサーだけどキレイだし、仕事してる時はカッコイイし……でも、」
そこでリンちゃんは、あたしを真っ直ぐに見つめ直した。
「でも、自分自身に正直じゃないサクラさんもハル君も嫌いです。
サクラさん、思ったまま行動することが子供じみてるというなら、大人になるってイヤなことですね?」
「…リンちゃん…」
「『やらずに後悔するより、やって後悔しろ』って、子供の頃言われませんでした?
ホントはもう気づいてるんでしょ? 自分の気持ちに」