あきれるくらい側にいて
心の奥ではわかってた。
でも認めたくなかったのかもしれない。
それは、本当はあたしが弱いから。
ただ年齢を重ねてきただけの自分を過信していたから。
本能のまま生きることをバカげているって、感情的になってぶつかり合うだけ無駄だって……。
28にもなって気づいた。
大人になるということを、はき違えていたってことに。
「サクラさん、わかってるんなら言わなきゃですよ?」
リンちゃんの言葉に無言で頷いた。
心は、ずっと前から決まっていたんだ。
素直になれないあたしが、無理に蓋をしていただけ。
出張から帰るまでなんて待ってられない。
すぐに伝えたいと思った。
ハルの声が聞きたくて、顔が見たくて……胸が張り裂けてしまいそう。