あきれるくらい側にいて
あきれるくらい側にいて
走った。
無我夢中で走った。
汗でメイクがとれることも、シャツが体にへばりつくのも、風で髪が乱れても、気にしてなんていられない。
公園を飛び出し息を切らして、あたしは、ただひたすら走った。
*.....*.....*.....*
玄関に入り靴を脱ぎ捨て勢いよくドアを開けると、エアコンの下でキャミソールの襟元をパタパタさせているモモちゃんが振り向いた。
「あらっ おかえり……ってサクラ、そんな汗だくでどうしたの!?」
「ハァ、ハァッ」
「そうだ!! ちょっと聞いてよ! ロトで33万当てちゃったのよー」
「ハァ、ハァー」
「ちょっと、ねぇサクラってば大丈夫!?」
床に膝をつき、呼吸を乱してるあたしの前に立ったモモちゃん。
その手に握られてるお札の束が目に入った。