あきれるくらい側にいて
 
このまま出てくるまで待つしかないの?
それより本当にここにいるの?

ねぇ、ハル……。

どうして出向なんて。
なんで、なんにも言ってくれないのよ?

また弱気な自分が顔を覗かせる。


こんなとこまで飛んできたけど、会えないかもしれない。

それでハルは会社からいなくなって、あのアパートからも引っ越して……。

そしたらもう話せない。

不安な気持ちが、どんどん大きく膨らんでいく。

この気持ちを伝えるどころか、前のようにはもう会話もできないままになったら。

もう会えなくなって、そんなことになったら……あたし ――。



その時、砂利を踏む音と共に人の気配を感じて、振り向いた。

 
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