あきれるくらい側にいて

「ハルこそ、こんな所でなにしてるの?」


そう聞き返したものだから、更に驚いたみたい。


「なにって仕事です、けど…」


当たり前の答えに、そんなのわかりきってるって思う。

あたしが聞いてるのは、そこじゃない。
ねぇ、思い出してよ?


「そうじゃなくて。
 言ったくせに……」

「言ったって、なにを?」


そうよ。自分からあんなこと言ったくせに、忘れたなんて許さない。


「言ったじゃない? 打ち上げしようって」


ここまで話したら、感情的にならずにいられなかった。


「二人だけでしようって ─」


側で顔を見て声を聞いていたら、抑えきれなくて。


「今度はオレがつぶれるまで飲むって、だからあたしに介抱してって、その日は寝せないって……言ったくせに!
ウソつき! なんで勝手に出張なんて来てるのよーっ!!」


一気に吐き出した。

 
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