あきれるくらい側にいて
 
離れた場所から、賑やかな声が聞こえてくる。

ビーチではしゃぐ人達を眺めながら、あたしは不思議に感じていた。

勢い余ってした告白を『ごめんなさい』って返されて、絶望的だったのに。

泣きながら走ったのに。

今のあたしはもう泣いてないだけじゃなく、いつの間にか悲しくなくなってる。

不思議と……っていうより意味わかんない。

わからないから、わからないなら訊いてみようと思った。


「あのね…」


ふいの呼びかけに、拗ねたみたいな顔でこっちを見たハル。


「変な事きくけど、あたしって振られたんだよね?」


って言ったら何故か眉をしかめて、

「誰にですか?」

と応えた。

 
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