あきれるくらい側にいて
抱きしめるには力が強すぎる、こんな不器用さも愛しくて。負けじとあたしも、きつくしがみついた。
「じゃあ、あの『ごめんなさい』の意味は?」
腕の中でもう一度、でも今度はそっと訊いてみる。
そしたらハルは、ちょっともったいぶった後でひとつづつ教えてくれた。
『ごめんなさい』に続けようとした言葉……。
そのひとつは、打ち上げをすっぽかして出張へ来たこと。
それから、あたしのことを避けたこと。
その理由を
「婚約者がいることを知って、これ以上好きにならないために」
と言ったハルに
「婚約ならとっくに破棄したわ」
と返した。