あきれるくらい側にいて

抱きしめるには力が強すぎる、こんな不器用さも愛しくて。負けじとあたしも、きつくしがみついた。


「じゃあ、あの『ごめんなさい』の意味は?」


腕の中でもう一度、でも今度はそっと訊いてみる。

そしたらハルは、ちょっともったいぶった後でひとつづつ教えてくれた。

『ごめんなさい』に続けようとした言葉……。

そのひとつは、打ち上げをすっぽかして出張へ来たこと。

それから、あたしのことを避けたこと。


その理由を

「婚約者がいることを知って、これ以上好きにならないために」

と言ったハルに

「婚約ならとっくに破棄したわ」

と返した。

 
< 191 / 200 >

この作品をシェア

pagetop