あきれるくらい側にいて
 
窓の外から訪れた潮風が、優しく素肌を撫であげて、心地よい波音がそっと二人を包みこむ。

掌に貼りつくような肌に頬を寄せ、ゆっくりと目を閉じた。

瞼の裏に浮かぶのは、あたしが見てきたいろんなハル。


無邪気な笑顔、照れた顔、困った顔、怒った顔、仕事してる顔……。

それから今初めて見せてる、男の顔 ──


これから先も、たくさんの瞬間のハルを記憶に焼き付けて。

共に笑って泣いて。

真っ直ぐに君のこと見て歩いていきたい。

だから、あたしの隣で、素顔のあたしをずっと見ていてね。

飽きる程に、
あきれるくらい側に、いてほしいの。


 
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