あきれるくらい側にいて
ダイニングテーブルに向かいあい、今朝起きた事件のことを話したらモモちゃんは
「変な夢を見たもんね」
なんて言って笑い飛ばした。
「夢なんかじゃないって! ちゃんと寝てたんだから、あたしのベッドにっ」
「ふ~ん。でもね、アタシが帰ってきた時はアンタしかいなかったわよ。ちゃんと服も着ていたし」
「でもぉーっ」
「じゃあ、サクラ?」
と飲みかけのコーヒーをテーブルに置いたモモちゃんは、こんなことを言いだした。
「その話が本当だっていうなら、その若い男はアンタが連れこんだ浮気相手ってことになるわね」
「浮気相手? どうして?」
「だってそうでしょ。目が覚めたら隣には知らない男がいて、しかも生まれたまんまの姿だったなんて」
意地悪く微笑むモモちゃんの前で、あたしはまたしても顔面蒼白になろうとしていた。