あきれるくらい側にいて
 
開発部は、本社ビルがある所よりずっと静かな場所にある。

電車を乗り継ぎ到着した会議室には、すでに社員の皆さんが着席していた。


「すみませんっ 遅くなりました。事業部商品企画課の花井です」


頭を下げ席を探していると、白衣を着た女子社員があたしに気づき

「アクツくーん、パートナーがいらしたわよ」

と部屋の奥へ向かって叫んだ。


その声に反応しピョコっと顔を上げたのは、中でもひと際若そうな男性……っていうか男子。

こっちを確認しペコリとした彼の顔は、ここからではよく見えないけど、笑ったのだけは確認できた。

人懐っこそうな笑顔……。

事業部にあんなコいたかな? と思いつつ、その席まで歩いていく。

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