あきれるくらい側にいて
揺れはじめる心
ハルの部屋で朝を迎えた日から、一ヶ月程が過ぎた。
桜の季節もゴールデンウィークも、あっという間に過ぎてしまっていた今年。
それは仕事に追われる毎日のせいだ。
事業部へ転属後すぐに取りかかっている、いまの業務。
多忙な日々は、恋人不在のあたしにとって調度いいのかもしれない。
例えタダシが日本にいたとしても、彼の方が忙しくてあまり会えないんだろうけど。
「ハルくぅ~ん、ランチ一緒に行こ?」
電話中のあたしの右耳に入ってきたのは、いつもの声。
左耳に受話器をあてたままチラ見すると、いつものたじたじ顔が視界の隅に入った。