あきれるくらい側にいて
 
色褪せたメニューを眺めながらハルが言った。


「サクラさんは何にしたんですか?」

「“旬の魚の竜田定食”」

「それいいですね。
えっと今週はサワラか……オレもそれにしよっかな」


ニコニコしながらハルは、お店のオバサンに向かってスイマセ~ンと手を上げた。


このコって、まるで小学生みたい。

あたしはたまに、そんなふうに思う。

素直で無邪気で、ホント子供並に天真爛漫。


だけど、小悪魔でもあるんだよね。

だって、あたしと寝たくせに、会社で会ってもこんな飄々としてられるんだから。

相当なもんだよ。

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