あきれるくらい側にいて
“ご褒美”って、なんであたしがハルに?
この仕事がうまくいったらって言ったって『よく頑張りました』はハルだけのものじゃないでしょ。
自分一人の功績のように言うな!
きっちり最後まで終わらせてから言え!
ぐらいのことを言おうかと思ったのに。
その後で言われた言葉や向けられた表情に、あたしは何も返せなかった。
いつもは元気いっぱいであどけなくて、子どもみたいに笑ってるくせに。
『今度はオレが潰れるんで、サクラさん介抱してくださいよ?』と前のめりで言ったハル。
さっきなんて急に咽せて、赤くなって黙りこんでたくせに。
『うんと甘えるんで覚悟しておいてくださいね? その日は寝せませんから』なんて上目遣いになったハル。
この瞬間だけは違ってた。見たことのない顔をしてた。
だから、あたし。
なんていうか、ちょっとなんだか……。
これってキミのせい。
ズルくてイジワルで、別人みたいな男の顔をしてたハルのせいなんだ、きっと ――。