あきれるくらい側にいて
タダシ、あたしが結婚しても仕事を続けること話してくれてないんだ……。
「結納を延期するのだって、あの子の仕事のせいだけなんですか?」
「延期って……」
「海外に長く滞在して、あの子も何かと不自由してると思うんですよ。タダシのお嫁さんになるというなら、こんな時こそアナタも一緒に行って身の回りの世話でもしてくれたらいいのに」
なにそれ……?
延期なんて、あたし聞いてないよ。
日取りを決めた時もそうだった。あたしより自分の親に先に連絡してた彼。
「それから式で着る衣装のことですけど……」
キンキン声で早口、いつものように一方的に喋りまくって、お義母さんは電話を切った。