あきれるくらい側にいて


浅い眠りを繰り返し、ちゃんと寝つけないまま迎えた翌朝。モモちゃんが帰ってきたのは、鳥の囀りが爽やかな5時を過ぎた頃だった。


「アンタ、そんなブスい顔してどうしたの?」


キッチンに立ちコーヒーを淹れていたあたしに、帰宅したての姉は酷い言葉を放った。

……酷いなぁー。
悪気がないのはわかってるけどさ。


「浮腫んじゃってブクブクよ?」


と、半分はメイクが剥げ落ちた顔で言われた。

いつもは言い返してるところだけど、今のあたしはそんな気力すら喪失している。

しかも“ブス”って言葉に、ダメージまで受けてるくらいで。


タダシやお義母さんのこと、モモちゃんに打ち明けようかと思った。

でも……話せなかった。

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