あきれるくらい側にいて

だって知らなかったよ。てっきり休みとばかり思っていたから。

それにうれしかったから、すぐに“ありがとう”って言いたかっただけなのに。

それなのに……あんな言い方しなくたって。


帰れなくなったことも結納のことも、誕生日のことだって一言も何にも言ってくれなかった。

仕事は確かに大事だよ。
あたしだって同じ。子供じゃないし重々わかってる。

だけど、もっと気遣いがあったっていいんじゃない?

メールだけで知らせるとか、お義母さんに先に伝えちゃうとか、それってどうなの?


どうしようもないやるせなさに、唇をキュッと噛んだ。

目の前にあるネックレスも箱も、さっき初めて見た時とは別物のように目に映った。

温もりのない無機質で冷めた、さっきのタダシみたいに感じた。

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