あきれるくらい側にいて

その後のあたしは、もうグダグダで。夕食も作らず、ただDVD観賞に耽ていた。

……ううん、耽ていたなんてウソ。

ただ画面の中の動く映像を目で追ってるだけで、さほど熱中してもいなかった。


2本目を観終えたところで冷蔵庫から缶ビールを持ってきて、プルタブを引き喉を鳴らして、3本目の映画をセットした。

外が暗くなっても照明もつけずに、ただ黙々と観るだけ。缶が空になればキッチンへ行き、冷えた物と交換してきた。

見事な程のグダグダぶり。

きっとタダシが見たら、驚いた後であからさまに嫌悪の表情を浮かべるだろう。

でも、その恋人も今は隣にはいない。

遠い遠い海の向こうにいるくせに、電話もメールだって滅多にくれないんだ。

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