姫とお菓子と俺

「姫菜?入るよ?」


ノックをして、待っても返事が無いので入る


「…入っていいって言ってない」


涙声の姫菜が、ベッドの上で体育座りをしている


「じゃ、そう言えばいいだろ?」

「…」


返事をしない姫菜
だから、俺は話を進める


「…あのね。姫菜、俺クッキーの話知らなかったんだ」

「うそだ…あげたって言ったもん」


目を赤くして、俺を睨む姫菜
でも、まったく怖くない


「あげた相手は、俺の隣で実習してた男だよ。失敗したから"くれ"っていうから…あげちゃったんだ」

「…本当?」


睨んでいた目を見開く姫菜

よかった
信じてくれそうだ

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