最後の人やな
万引きは翌日からも続いた。

ただ欲しいというわけではなく、なんとかして日常に活気を与えたいという一心だった。

万引きの対象はお菓子にはじまりゲーム、カードなど段々とエスカレートしていったのだがどう考えても大学二年の男が欲しがるものではなかった。

俺はただあの頃と同じドキドキがほしかっただけだった。

だけどどんなに高価なものを盗んでも、あの頃と同じドキドキは得られず結局一ヶ月ももたないうちに万引きにも飽きてしまった。

もっと強い刺激を。

僕は何日も一晩中最高の刺激は何かを考え続けた。

何日もの眠れない夜を越えて僕はとっておきの作戦を思いついた。

世にも恐ろしいその作戦を実行するのに、準備は一日もいらなかった。

ただとても体力が必要とされる作戦であるとわかっていたので、その夜はぐっすりと眠ることにした。

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