最後の人やな

転落人生

そうはいうものの、俺が生まれてこのかたずっと、こんな冴えない日々を過ごしていたのかというとそうではない。

小さい頃から人より勉強のできるほうだった俺は
中学時代、「神童」と呼ばれテストの結果はいつも学年で三番以内には入っていた。

友達もそれなりにいたし運動も人並にできた。

そして好きな人もいた。

何もかもが順風満帆で楽しくて仕方なかった。

ある日の午後、僕が想いを寄せていた女の子の友達から 呼び出された。

「あのさ、サカタくんってまだユリコのこと好きなん?」

あまりに唐突で隠す必要もないだろうと思い

「えっ?!…うん」

と答えた。

「本間?!ユリコもサカタくんのこと好きやねんてさ!」

俺の頭は一瞬真っ白になり、しばらく経つとこれから始まるであろう夢のような日々への妄想が始まった。

難解で解くのが難しいと思われたパズルが一瞬にしてパチンとハマったようなあの感じは今でも鮮明に俺の中にある。
< 4 / 12 >

この作品をシェア

pagetop