最後の人やな
俺はこれぞスキップというような見事なまでのスキップで家に帰り、小便をしながら母親にこう言った。

「おかん、人生ってうまいこといくもんやなぁ」

その時、生まれて初めて地球が自分のために動いてるんだと思った。

ユリコと相思相愛になれたとはいえ正式に交際の了承を得れたわけではないのだが、俺は別に形式だって付き合わなくても、ただ一緒に帰ったり、遊べたりしたらいいやと思っていたので、別段告白はしなかった。

それから俺はユリコと週一くらいの割合で一緒に家まで帰るようになった。

ある日の帰り道、やたらデカい毛虫を見つけた。

ユリコはそれを枝でうまく救い上げ得意げに見せた。

「これは刺されるとけっこう痛いやつやな」

とても中学生の女の子がするような行為とは思えなかったが、そんな無邪気なところにまた俺は惹かれていった。

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