君の隣で



私は部屋に戻ろうとした。



―――…その時





……私はなんて運が悪いのだろう。





「よっ、麗奈ちゃん元気ぃ?」



瀬戸に会ってしまった。



いつもの陽気な顔。



なんかストレスとかなさそうな感じ…。



「元気だけど……?」


小さい声しか出せなかった。

そう、私はいつも人と話す時声がよく小さいと言われる。

それでもう一回聞き返されるのが空しくて。


声が………出せない……。



「麗ちゃんが元気で何よりだ☆」



―――…えっ!!!?




ちゃんと聞いててくれた―…



「まったく…麗奈ちゃんにちょっかい出しちゃ駄目だよ!!」


これは花歩だ。



「んだよ、磯辺(花歩)は関係ねーだろ。俺は麗奈ちゃんと話したかっただけです~。」


「あっそーですか!!!麗奈ちゃん部屋行こっ!!!」





いかにも軽い感じの男…


私は花歩に手を引っ張られながら部屋に戻って行った。


でも、ちょっぴりだけ



ほんのちょっぴりだけ




暖かい気持ちに




なれました。



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