その時まで、三秒。
「片想いが」
「嘘!」
「即答かお前は」
そんなの嘘。そんな素振りずっと見せなかったじゃない。
「嘘っ!」
もう一度言えば、強い力で腕を引かれる。あたしは胸の中へと収まった。
「嘘じゃねぇよ。つか嘘吐いてなんになんだよ」
「――……解んない、けど……」
頭の中が解らない。ぐるぐる巡って、飲み込もうとしない。
「嘘、じゃないなら、す……好きって、こと?」
「ああ。お前は?」
「あたし、は……あたしはぁ」
ダメだ。更にぐるぐる巡って、もうわけが解らなくなっている。
「――好き、だろ?」
「あぅ……う、うん!」
大きく頷き、目を瞬かせる。なに、いまなんて言われたんだろうか。
「そうか。ならいい」
笑みを溢しながら頭を撫でる。なにがそうなのかは解らないけど。
「な、なんだ」
背中に腕を回して抱きしめる。そうすれば、躯を竦ませた。
「好きっ、大好きっ!」
あたしは好きって言ってないから。言えば、顔が熱くなった。
そうしてもう一度重なる唇。数秒間の出来事。
ここが往来だと気づいたのはその後。周りに人がいなかったのが救いだった。
end.
11/6/2
「嘘!」
「即答かお前は」
そんなの嘘。そんな素振りずっと見せなかったじゃない。
「嘘っ!」
もう一度言えば、強い力で腕を引かれる。あたしは胸の中へと収まった。
「嘘じゃねぇよ。つか嘘吐いてなんになんだよ」
「――……解んない、けど……」
頭の中が解らない。ぐるぐる巡って、飲み込もうとしない。
「嘘、じゃないなら、す……好きって、こと?」
「ああ。お前は?」
「あたし、は……あたしはぁ」
ダメだ。更にぐるぐる巡って、もうわけが解らなくなっている。
「――好き、だろ?」
「あぅ……う、うん!」
大きく頷き、目を瞬かせる。なに、いまなんて言われたんだろうか。
「そうか。ならいい」
笑みを溢しながら頭を撫でる。なにがそうなのかは解らないけど。
「な、なんだ」
背中に腕を回して抱きしめる。そうすれば、躯を竦ませた。
「好きっ、大好きっ!」
あたしは好きって言ってないから。言えば、顔が熱くなった。
そうしてもう一度重なる唇。数秒間の出来事。
ここが往来だと気づいたのはその後。周りに人がいなかったのが救いだった。
end.
11/6/2