KYOSUKE



結局、俺はその後すぐにお嬢に電話を掛けて謝った。


今日の英語を見て上げられないことと、帰りが遅くなる…もしかして朝になるかもしれないことを。


お嬢は気にした様子でもなく、


「夏休みは始まったばっかりだからいいよ。それより地元の友達だろ?ゆっくりしていけよ」


なんてありがたいお言葉。


お嬢は……やっぱり優しい。


部屋に戻ると、慧さんと累さんはカラオケ熱唱中だった。


「よぉ。電話は終わったか?」と慧さん。


「ええ、まぁ。龍崎家は門限9時なんですよ。それを超えると怒られるさかい…」


「門限9時!どこの女子中学生の家や!!」と累さんがびっくりして目を丸めている。


「厳しいところで育ってるんやなぁ」と慧さんはしみじみ。「いかにも箱入りって感じやないか」


「はぁ…まぁ…」これは俺も返答を窮した。


箱入り…?う゛~ん…


まぁ門限決めてるのはその本人で…


「戒はヤンチャやさかい、あのガキうまくやっていけるかいな?」


「ああ…まぁそれは色々気ぃ合いそうですよ?」


何だかんだ言いつつも、この二人も結局戒さんのことが心配なんだな。


俺は何だか心があったまって―――


男兄弟もいいかもしれない。






と、思ったのが間違いだったことに気づくのは数時間後。







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