KYOSUKE
戒さんが中学に入った頃、彼はしょっちゅう生傷をこさえて俺の家に来た。
俺の家は鷹雄組の事務所とは離れているため、普通の一軒家だ。
絵本に出てきそうな家。
と戒さんは笑っていた。そして彼の素直な一面が見え隠れして、「羨ましいわ」なんて笑っている顔が、俺は好きだ。
その日も派手に顔に傷を作っていた。
この頃の戒さんは背もまだ低い方だったし、おまけに女の子のような可愛らしい顔をしていたので、その傷が余計に痛々しかった。
「ど、どないしはったんですか、その傷」
「どうもこうもあらへん。兄ちゃんたちにやられたんや」
忌々しそうに戒さんは口を尖らす。
兄弟喧嘩か…
この頃生意気になった戒さんは、二人のお兄さんたちにしょっちゅう苛められて(可愛がられて?)は俺の家に避難…と言うか家出しにきていた。
「原因はなんです?」
戒さんは腕を組むと、至極真剣にくわっと目を開いた。
「冷蔵庫のプリンや」
プリン…
「あいつら俺の大好きな生クリーム入りプリン二人で食いやがったんやで」
プリンでそんな本格的な喧嘩を……
「おい!聞いてるのか!!」なんて言ってチョップされた。
女の子みたいに可愛いのに、口と態度は随分悪い。おまけに手も早い。
俺が額を押さえていると、エプロンをした母さんがにこにこしながらやってきた。
「戒くん。うちでホットケーキ食べていかへん?」
「ホットケーキ!」
戒さんは目を輝かす。
俺は戒さんのこうゆう素直なところが―――好きだった。