KYOSUKE
「どうさらはったんですか?決まったんやないんですか?それとも何か問題でも?」
疑問に思っていたことが一気に口をついた。
一つ一つ彼の口からきちんと聞きたいと思っていたのに。
戒さんは吐息をつくと、肺に溜まった煙を吐き出した。
ため息とともに煩わしい何かを吐き出したいように思える。
「決まった。俺が勝ち取った」
俺は大きくため息を吐いて、椅子の背もたれに深く背を預けた。
電話では聞いていたけれど、ちゃんと顔を見て聞くのとはまた違う。
安心した。
肩の荷が一つ下りた気がした。
俺が龍崎家に侵入した意味があったってことだ。
少しだけ息を整えて顔を上げると、戒さんの疲れた顔が目に入った。
「決まったんでしょう?何でそないな顔……」
俺の問いかけに、戒さんは首をうな垂れ、テーブルに肘をつくとタバコを指に挟んだまま額を覆った。
「龍崎 琢磨が盃の話を持ち出した本当の理由を―――
知ってしまったんや」