KYOSUKE

理由―――


それは勢力を増した玄武と朱雀に食い破られない為。


それだけじゃないのか―――






「お待たせいたしました。ホットコーヒーでございます」



ウェイターの気のない声で、俺ははっとなった。


コーヒーカップが目の前に置かれても、俺はそのカップに視線を落とすことはない。


ひたすら戒さんを見続け、その緊迫した様子にウェイターが訝しそうに眉をしかめながらも


「ごゆっくりどうぞ」と言い、立ち去って行った。




それを見計らって戒さんは口をゆっくり開いた。




俺は気を落ち着かせるためにコーヒーカップを口に近づける。


あまり上品でない香りがしたけど、気にする余裕もなかった。









「龍崎 琢磨は――――……」